小宮山量平

早乙女 勝元

「弱者の視点で共に歩く」

作家・「小説 東京大空襲」他 

 

 西村さんと私は、不思議な縁があります。その一つは、共に東京大空襲の体験者であり、生き残りであるということ。
 一夜にして十万人もの都民が死んだ『炎の夜』(45・3・10)に私は向島で、西村さんは隅田川をへだてた浅草で、かろうじて一命を取りとめました。それが共に戦後の原点になったかと思います。二つ目は、戦後は苦難の道で、共に大学はおろか高校もでていません。あえていえば人生大学で、生きる知恵と、パワーを得てきたということでしょうか。
だからといえるのかもしれませんが、三つ目はおたがいに弱者の視点で、文章を書くようになった、ということですね。
 戦争にはいろいろな見方があって、明治時代の軍人を主にした「元気な」日本人像がもてはやされていますが、行きつく先は侵略戦争でした。約三百万人もの日本人の生命が失われ、アジア諸国では約二千万人余が死ぬという大惨事で、小さいものや弱い者の戦禍を忘れてはならじと、西村さんは戦争孤児に執心し、私は東京大空襲の戦火の継承に、あたふた中です。
 おたがいにいいトシになりましたが、カラ元気でも、もうひとふんばり。希望舞台による今回の公演「みなし子」に、心からのエールを贈る次第です。次世代の人間らしく生きる明日の平和のために、本公演が大成功しますよう心から念じてやみません。